音響ブラックホール(Acoustic Black Hole)


 音響ブラックホールとは、音速点を持つような流体の流れ、つまり 「遷音速流」のことです。
これがなぜ「ブラックホール」なのか、その原理を簡単に解説します。


図1 遷音速流の概略図

 図1のように、左から右に進むにつれて流速がが加速するような流れを 考えます。流れのある点に音速点があるとすると、音速点より下流(右側) は超音速で流体が流れているので、下流の音は音速点を越えて上流側(左側) に伝播することができません。ここで、「音」と「光」を対応させて考えると、 音速点より下流側がブラックホール領域に、音速点は事象地平面(horizon)に 対応しているとみなすことができます。このような視点でこの系(遷音速流) を見るとき、これを「音響ブラックホール」(Acoustic Black Hole)と呼ぶ ことがあります。

 このような遷音速流のことをわざわざ「ブラックホール」と呼んで重要視する 理由は、このアナロジーを利用することで、本来の相対論的ブラックホールが 引き起こす(あるいは、引き起こすであろう)様々な現象を、実験室で再現する ことができるからです。


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京都大学大学院 人間・環境学研究科 宇宙論・重力グループ
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